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日本国憲法は日本が自主的に制定した?〜『GHQ押し付け憲法論は嘘』の誤り

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近年、日本国憲法は日本政府によって提案されたものであり、帝国議会の審議を経て成立したのだから、日本が自主的に制定したのだという類の論調が増えているようである。今の中学・高校の教科書でも、この論調が増えてきているとのことだ。

だが、日本国憲法GHQ統制下の時代に制定されたことは紛れもない史実であり、これを日本の自主的な制定だとして論じるのは全くの誤りであるので、指摘しておく。

試みに、幣原内閣が1946年2月8日に提出し、GHQに受け取りを全面拒否された憲法改正要綱、これの代わりにGHQが日本に突きつけたGHQ草案、そして完成した日本国憲法の三者を比べれば、日本の提案した憲法改正要綱など完全に無視され、最終的に、日本政府がGHQ案に極めて忠実な現憲法を制定したことを、比較を通じて確認することが出来る。

日本の提案した憲法要項などGHQに完全に無視されているのであるから、「最初に日本が提案したのだから現憲法は自主的に制定されたのである」とする主張は、全く筋の通らないものである。

それでも、日本が日本国憲法を自主的に制定したと唱える者は、現憲法帝国議会の審議を経て成立したのだから、これは日本人が制定したと言えるではないかと言う。だが、帝国議会の審議を経たというのは、それはGHQ憲法制定のための法的な手続きを日本側に営ませたというだけのことである。つまりGHQによる間接統治の現れである。

補足までに、この帝国議会の審議(帝国憲法改正案委員小委員会)について言えば、審議の議事録は英訳されてGHQに逐一報告されており、審議はGHQの厳しい監視下におかれていた。実際、当時の議事録を見ると、審議中に「速記中止」を求める声が度々上がっているのがわかる。これはGHQに知られたくない発言があったさいに、議事録の速記を中断していたためである。

憲法を日本が自主的に制定したとする主張は、このように、史実を全く無視したものであることが分かる。そもそも、日本がGHQに隷属していた占領下の時代に、日本が自主的に憲法の制定などできるわけがないことは、常識的に判断できることである。

tanizaki.hatenablog.com

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