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憲法9条改正、護憲派と改憲派のどちらに矛盾があるのか?

下記のAとBは、護憲派改憲派の考えの違いの一例を示したものである。護憲派改憲派には、この他にも「自衛隊は合憲」とした上で護憲と改憲に分かれるCとDの考えがあるが、話が一度に膨らみすぎるので、ここでは触れない。

A.自衛隊違憲なので、憲法に合わせて自衛隊を変える。(護憲派
B.自衛隊違憲なので、自衛隊に合わせて憲法を変える。(改憲派

AとBの考えは、改憲論議において対立の深い二派であるが、自衛隊違憲とする点で両者ともに出発点は同じである。Aは憲法に合わせて自衛隊の現状に何らかの変更を加え、護憲を通そうとするものであり、Bは自衛隊の現実に合わせて9条の改憲を主張している。「9条を守れ」と言っている人達が概ねAに当てはまり、一般的に「護憲派」というとこのグループの人達が目立つ。また、民進党蓮舫代表のように個別的自衛権は容認しても、集団的自衛権では違憲を主張して「9条は絶対に守る」と言う人達は、このAのグループと考えて良いと思う。というのも、彼らの言動を見ると、ホンネでは個別的自衛権でさえも違憲と考えていると思われるからである。
さて、Aの護憲派はBの改憲派を「憲法を壊すな」などとして批判するのであるが、なぜ憲法を壊すといけないのか、その理由として彼らがよく口にするのが、「立憲主義を守れ」というものである。彼らにしてみれば、自衛隊の現実に合わせて憲法を改正する改憲派Bの主張は立憲主義に反するということだ。つまり、憲法があって、次に現実があり、現実は常に憲法に従うというのが彼らの主張である。しかし、欠陥がある憲法であっても、これを変えてはならないのでは、我々はその欠陥憲法の犠牲者である。憲法は人間が作るものであり、完璧ではない。だからこそ憲法は改正できるように作られており、憲法に問題があっても改憲は許されないとするならば、では一体、いつ、どんなときに改憲を許すのかという話になる。そもそも憲法は我々のために存在するのであり、我々が憲法のために存在するのではない。改憲憲法で認められているのであり、なんら立憲主義に反するものではない。したがって、護憲派Aの言う「立憲主義を守れ」というのは、Bに対する批判として全く的はずれである。
だからといって、Aの考えは矛盾しているというわけではなく、ともに、AとBの考えは矛盾のない考えである。ただし国防の問題あるいは国家観について、AとBは大きく認識が違い、Aのような護憲派は、しばしば国防を不要であると言ったり、自衛隊を解消するなどと、現実の安全保障を無視した発言をするのである。Aは憲法には問題はなく、問題なのは自衛隊だと言い、Bはその逆の立場である。この違いというのは「国防をどうするのか」という問いに対する答えが著しく異なるということであり、つまりは、国は自衛隊を必要とするかどうかということである。これは憲法論ではなく国防論の相違である。ただし、もしAが単純に「国防よりも護憲が優先」と考えて自衛隊の解消などを主張しているであれば、その場合はAの考えは誤りである。その理由は先に述べたとおり、我々は憲法のために存在するのではないのであり、現実より護憲が優先するというのは立憲主義を誤解している。そもそも、Aの主張は「自衛隊違憲なので、憲法に合わせて自衛隊を変える」だったハズであり、「護憲のために、憲法に合わせて自衛隊を変える」ではないのである。なお、AもBも現時点で自衛隊違憲だと認めているのであるから、両者ともに現在の憲法と現実との矛盾を抱えることになるが、それはAやBの責任ではなく、両者とも自衛隊の解消あるいは改憲の実現まで時間の猶予は与えられるべきである。もちろん、Aのように自衛隊を解消したりするのは全く現実的ではなく、片や、Bのように憲法を現実に合わせるべく改憲するのは、普通に現実的だという違いがある。

 

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